『赤い実を食べた人の行方』

 あの赤い実を、彼女は食べたから、神の領域から追放された。
 では、食べなかったのに追放された母は、何?
 最初の男に、神が娶せた女たち。
 母は私を孕み、追放された。彼女は子の作り方を求め、赤い実を食べた。

「神なんてそんなものさ」と、手足をもぎ取られた悪魔が言う。「偏見、独善、思い通りでなければ気が済まない」
 だからお前も、屈辱ゆえに来た母と同じく、神を見限った者達の陣営へ来い。
 けれどリリンは否と応えた。

 ただ、彼らの成り行きを見てみたいと思った。
 追放と引き換えに知恵を得た彼とその子らが、どんな道を辿るのか、許される限り、見てみよう。
 人ならざる血を継ぐ彼女の時間は、無限に近いほどあるのだから。

 

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テーマ:食べる/2018.10.06.

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