『晩秋』

麓の村の家々の灯りが眩しい。
炭焼き小屋に寝起きする男はただ、眺める。

己にそれを求める資格はない、と男は自嘲する。
あの灯を、可能性を、多くの家から奪ったからだ。
男は、戦場で命の灯を奪い、我が身を養った。
それが略奪であることに気がつくのが、遅すぎた。
だから、団らんの灯にも、祭の灯にも、彼は近寄らない。
村人は炭焼き小屋の男に優しい。彼の身を養ったモノを知らないからだ。

季節が冷え込む。
雪上に灯る血しぶきの悪夢に、早々とたたき起こされた。
外を見れば、やや早い霜が地面を白く覆っていた。
その上に赤く色づいた落ち葉が、灯る命のように、灯る夜の窓のように、散っていた。

その受け取り方が、彼には判らない。

 

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テーマ:灯す/2018.12.01.

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