さる大商人の後妻にとって、夫からもたらされるモノは、高価な宝石よりも、故郷の安息の報せの方が、ずっと価値がある。何故なら、そのためにこそ、その立場を承諾したのだ。
夫は、そのことを判っていてなお、節目ごとに高価な装飾品を彼女にもたらすのか、単に富豪の慣習なのか。受け取るたびに、笑顔を作って礼を言う。本音は胸の内に。
夫人には知らされていない。
夫は妻の故郷に多大な投資をして、貧困な村が徐々に豊かになりつつあることを。彼にとって、それは契約で、当然のことで、妻に報せるまでもなく、承知の事だった。
ある飢饉の年。
夫は妻へ、宝石の代金を村へ回すことを詫びた。
妻は、初めて、心から笑顔で、礼を告げた。
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テーマ:贈り物 /2017.12.02.
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