今年も神木の根元にひっそりと、赤い花が咲いた。
神殿の者は聖女の涙と呼ぶ。
離れた都の民は魔女の血と呼んでいるらしい。
先帝が倒れ、皇后は藁にも縋る思いで聖とも魔ともつかぬ花の煎じ薬を求めた。
そうして母后を救われた当代帝は、かの花を魔女の血と称することを禁じた。
愚かしい、と村の古老はつぶやく。
勝手よね、と、村の薬師たちはため息をつく。
全ては加減次第なのを、使う者たちは知っている。
都の使者が、致死と生、双方の薬を求めたこと。
聖女の涙と魔女の血と呼ばれる二種は、同じものであること。
使い方だと、知識層と薬師たちは皆、知っている。
魔女は、聖女は、何者か。
知るべくもない無垢の赤い花は、ただ、時が来れば咲く。
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テーマ:花/2019.04.06.
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