「あの衣はどこへ消えた」
王妃が問うは、十四になる姫が産まれた時に贈られた衣。
あのときの王妃は、風邪をめした王女への魔女の呪いを恐れて、処分を命じた。
だから侍女は、あのときに困窮していた妹に産まれた子に、裸よりは、と、あの衣を渡した。
絹はその子に大切に使われ、やがて衣服に仕立て直され、くたびれた今も彼女の衣服の一部に使われ、元気に働いている。
王女は、あの衣を纏わずとも病弱だ。むしろ、あの衣を纏ったおりの風邪が一番軽くすんだように思える。
侍女は妹に告げた。姪は愛用の服の絹の部分を二つに分けて、片方を袋にして伯母に渡し、これでお許し下さい、と告げた。
その袋を身につけるようになった王女は、以来、病の床につくことがなくなったという。
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テーマ:包む/2020.02.01.
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