『雲、を』

空は真っ青で、くるくる回る。
白い雲が、くるくる廻る。

 天に大きな棒を突きだして、ぐいっと動かす。
 雲が、ぐいっと曲がって、捻れて、棒の流れと一緒に動く。
 えいっ、と、雲のかかった棒を横倒す。
 雲は棒の先にひっかかったまま、斜めに立つ。
 掴んだ雲はふわりと手を取り巻いた。

少し引っ張ってねじると、きらきらとした糸になった。
 するすると、雲を紡ぐ。
 紡いだ雲は糸になる。
  晴れた日の雲は、白い糸。
  曇りの日には、灰色の。
  夕焼け空からは、朱色の。

雲の糸、雲の布、たくさん作って、ふと空を見上げる。
終わりを知らない流れる雲に、空はとてつもなく大きいんだ、と知った。

 

「あ、この布。ぱん、と潰すとお水になるんですよ」

 

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テーマ:雲/2017.09.02.

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