『装飾革命』
粗末な産着と日除け布。
道端の石に呪いを掛けたろう、護り石。
黄金の耳飾りが、カラリと鳴る。
手直しされた、母の古着。
村中の少年が照れくさそうに渡した、少し綺麗な色の小石を縄で括った首飾り。
豪奢なドレスの衣擦れが床を這う。
翠玉の煌めく首飾りが癇に触る。
嗚呼、何故、今更に。
あの村は、飢餓に啼き、私を売った。
買った男は、私を妾と愛でた。
この心に焼き付いているのは、あの少年。
産着と護り石、あの小石は、無数の装飾品の箱の奥底。
全てはじきに終わる。
次にこの身を飾るのは、本妻の平手か、搾取された領民の怒りか。
あの村は、豊かになったろうか。
知る術は無い。
もうじき、この館の全ては、この身は、血と怒号に飾られる。
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テーマ:飾り/2017.03.04.
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