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お題小説

『ある女領主』

彼に問えば必ず「応おう」と来る。応こたえた通りの結果をもたらす。 それは、戦士の理論。 違う。 彼女が欲しいのは、個としての彼の返しこたえなのだ。 主あるじであっても女で有る限り、いや、女であるからこそ、それを彼に直接に問うことは許されない...
お題小説

『影』

夕焼けで長く伸びた影がぐっと伸びて、やがて空に昇って夜に吸い込まれる。 ほんのりと輝く星の灯りに乗って、少しだけ、地に戻る。 やがて月が昇り、また影も地に帰る。 夜が更けて、また明けて、日が昇る。 影は地上に帰る。 帰ってきた影と、目覚めた...
お題小説

『救ったのは誰だ?』

「なぜ、外から援軍が!?」 将軍は驚愕した。 速やかに占領した国境の街。この街の占領は知られないよう、万全の配慮をした。 伝令は全て阻止したはずだ。救援の伝書鳩すら、ことごとく射落とさせた。 だが、現実に、奪回軍は迫りつつある。 彼らは知る...
お題小説

『ひたすらに』

男は黙々と、地面を整える。 かつて彼は、軍馬でこの辺りを踏んだ。 蹄鉄が草を荒らし、その上で剣が、甲冑と槍が、ぶつかり合った。相手を、この草むらにたたき落とし、あるいは仲間が落とされた。 あの日の音や悲鳴、血臭はもう、残ってはいない。 けれ...
お題小説

『選択-眠り』

私は、眠ることを選んだ。数人が守護が管理をするシステムに身を委ね、いつか来る楽園のような世界に目覚めるために。夢すらない、という話は、私に関しては該当しなかった。時間の認識はないけれど、幾つもの夢を見た。幾つものパターンの人生を見た。それで...