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お題小説

『選択-守護』

あのとき、僕が何故その選択をしたのか、もう覚えていない。 誰かが、それを選ばなければならなかった。その役を引き受けた時、僕はむしろ積極的であったと思う。 でも、こんな結末になると知っていたら、違う選択をしたのではないだろうか。 残ったのは、...
お題小説

『あの橋の向こうは…』

きっと、楽園だ。  泥の水を啜るような世界じゃ無い、様々な果実酒の池がある。  湿った小枝で必死に微かな火をくすぶらせる必要なんか無い、尽きることの無い灯火台がある。  土も、もっと肥えているだろう。もしかしたら、パンや果物がなっている木が...
お題小説

『金の鍵、銀の鍵、銅の鍵』

金の鍵は王様の。   銀の鍵は姫様の。   銅の鍵は親方の。    さぁ、どれを選ぶ?  銀の鍵をもらった女中の娘。  銀の鍵を、姫様に持って行く。 「無くした衣装箱の鍵よ、ありがとう」  姫様は喜んで、宝石箱からきらきらとした髪飾りを取り...
お題小説

『想い出の鞄』

初めて、おじいちゃんの遺した旧いスーツケースを開ける。ちょっとだけ、札束とか売れそうな骨董品とか、現金な物を期待したのは内緒。  入っていたのは、町だった。  真ん中は、おじいちゃんの家。  今は建て替えられている、木造の家の屋根が並ぶ。 ...
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『余り者の王子様』

あの王子様は余り者。  大事な役目も、大きな特技も、綺麗な姿もない。  王子様はお城でひっそりと、ご飯さえも兄弟の余り物を選んで食べて育った。  王様は言う。跡継ぎどころか任せられる領地もない。  大臣は言う。他所の国に似た年の姫様はいない...