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『装飾革命』

『装飾革命』粗末な産着と日除け布。道端の石に呪いを掛けたろう、護り石。黄金の耳飾りが、カラリと鳴る。手直しされた、母の古着。村中の少年が照れくさそうに渡した、少し綺麗な色の小石を縄で括った首飾り。豪奢なドレスの衣擦れが床を這う。翠玉の煌めく...
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『あちら側』

『あちら側』深い森の中。白と緑の中にぽっかりと平らに窪んだ湖面。女は一人、その氷上に立つ。足下に逆さの人影が見えた。「あなたは誰?」問う声に応えている風情が見えるも、何も聞こえない。助けを求めるように手を伸ばされた気がして、応えようと手を伸...
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『燃えたモノ』

君は憶えているだろうか、僕たちの村で女医を包んだ、あの炎を。貴男は覚えているだろうか、あの絵を厄災と言って燃やした魔女を。君は憶えているだろうか、村を焼いて奪った兵士たちを。貴男は覚えているだろうか、幾人もの村娘を炎から引き上げて連れ去った...
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『女の肖像』

東の教会の影にひっそりと佇む墓標に掘られた名は、前王朝末期、最後の王妃の勘気に触れて処刑されたといわれる天才画家レガン。西の教会の地下室には、その原因となった描きかけの絵が、ひっそりとかくまわれている。目尻に僅かに描き込まれた皺が、画家の悲...
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『赤く、紅く…』

月光が異様な輝きを見せた。星たちがその余波を受けて視界から閉ざされる。深夜、真っ暗な空を、月の光だけが輝いて、地上の光すらも飲み込むように見えた。月は赤く、紅く、朱く、瞬くように輝き始める。陽光の反射とは全く別種の色。瞬間から、多くの人が永...