『路上の花』
白、黒、赤、黄、青。
上階の窓から見下ろす地上は、豪華な花畑に見えた。
しとしとと注ぐ雨を受けて、花は動いて行き交い、くるくる動く。
少女は、ほとんど出たことのない寝台の横の窓辺から、雨の注ぐ花畑を見つめる。
五分五分だ、と、手術を告げた医師は言った。
成功すれば、それなりに動くことができるようになる。逆ならば、良くても死までの日数を数えることになりかねない。悪化が酷く緩い中では、選択と二つの結果を本人に告げた医師の言葉は、最大限の好意だろう。
やがて、雲が晴れた。
色とりどりの花畑は咲き続ける、くるくると。
水雨が光を弾いて、万華鏡のようになった。。
少女は、決心した。
あの花の一輪になる、賭けをしよう、と。
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テーマ:かさ(第33回)/2017.06.03.
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