いつも、悩むのだ。
開けるべきか、このままにしておくべきか。
時折、頭の片隅に何かがよぎる。悩む理由の一つは、それかもしれない。
けれど、その理由すら判らないから、悩む。決心がつかない。
ある日、仔猫が入ってきて、小箱を蹴り倒した。
箱が落ちて、中身はあっけなく床に散らばった。
仔猫を抱いた幼い自分の写真がこぼれ出た。
ああ、思い出した。
この子が亡くなった時、その思い出を、祖母がこの箱に封じたのだ。
生まれ変わりのような仔猫とあの子の思い出を、そっと抱きしめた。
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テーマ:箱/2021.12.04.
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